2009年6月25日木曜日

住み込みのメイド

日本に住み込みのメイドをおいている家庭はどれくらいあるだろうか。よほど金持ちで共働きでも住み込みのメイド(要するに女中)を雇っている家は少ないのではないかと思う。

聞くところによると昭和30年代くらいまではそうでもなかったらしい。たとえば普通の勤め人でも妻が学校の先生をしていて子供もあったりすると普通にベビーシッター(っていうか・・・・ばあさん)を住み込みで雇ったりしていたという。女性が働く機会が限られていて結婚しても終日働くということが「特別」なことだった時代なのだろう。家事が飯炊きからして今より大変だったこともある。

今の日本人には住み込みの女中というのはいろんな意味で抵抗があると思う。

もしもあなたが男子大学生で、自宅に15歳や18歳の女の子が住み込みのメイドとして働いていたら、そして、そのメイドがアジアの途上国出身者だったりしたら(日本では法的にありえないが、仮にそんな状況があったとしたら)、どんなことになるだろうか。

男子大学生でなくてもいいのだが、まず、友達やら先生?やらに、その話が出るたびにいちいち言い訳してまわらなければならないだろう。

両親が忙しく家が広い、小さな子供がいる、などの事情があったとしても、概して気まずいことになるのではないかと思う。何のうしろめたいこともなかったとしても、常に変な「うしろめたさ」と戦い続けなければならないことになるかもしれない。

あなたが女だったとしても気まずいことには変わりがないのではないか。そのメイドとの付き合い、人間関係に参ってしまう人も多いかもしれない。どんなにちゃんとしたメイドであったとしても、他人を家に住まわせているのは日本人にとってはそれだけでストレスだと思う。

ところが、日本を除くほとんどのアジア諸国(韓国はどうか知らない)では事情がまったく違う。ちょっとゆとりのある家庭では(仮に主婦が家にいても)メイドを置くのはごく当たり前のことである。メイド(下働きの女)の扱いにも慣れている。メイドを他人様だと思って気を使ったり、気詰まりになったりするような人も少ないようである。

タイやネパールでは、私が見た限り住み込み女中はほとんど無権利状態の家内奴隷である。フラットに住んでいる家庭でも年端も行かない下働き女を置いている家はありふれている。女中は年中無休24時間拘束が当たり前。性的虐待を含む虐待がはびこっているのは普通のことで、メイド問題が社会問題になる余地さえない。女中の権利を現実に守っているのは法律ではなく、常識やタブーの意識であり、ネパールではこれがそれなりに機能しているかもしれない。近所の噂になるような虐待は避けられることが多いかもしれない。ただ年中無休24時間拘束ほぼ無賃金に近い低賃金というのも「常識」に属する。

マレーシアではこれよりは多少メイドにとって状況が良い。タイやネパールではメイドは曖昧な未定義の存在といって良いが、マレーシアではメイドは法的な存在でありメイド問題は単なる社会問題ではなくて毎日の紙面をにぎわす立法問題、政治問題である。

本当に、マレーシアではしょっちゅう政治家がメイド政策を論じている。これはやっぱり私には奇異に映る。メイドなしで生活が成り立たないのだろうか。

最近ようやくメイドに週一日の休暇を義務付けられるようになったらしい。インドネシア人メイドがマレーシア人雇い主に虐待されたという事件がきっかけ。

マレーシアでは外国人メイドのパスポートをメイド雇用者が管理することが、雇用者の権利として認められている。「安全のため」という理由だが、周旋業者に高いカネを払って雇ったメイドが逃げることが多いかららしい。週一日の休暇の義務付けに対しても反対が強い。政府部内からも反対がある。反対の理由は「休みなんかやって外をうろうろされたらすぐに男とできてカネをもって逃げるに違いないから」。

マレーシアのメイドはインドネシア出身が多い。マレーシア国内にメイドだけで公式に30万人ものインドネシア人がいる。認可された周旋業者の正式手続によるインドネシア人メイドの数である。

マレーシア人は華人もインド系も学校でマレーシア語(マレー語)を習っているのでインドネシア語しか話せないメイドとも何とか意思疎通ができる。その次に多いのがフィリピン出身。その他では、カンボジア人の人気が高い。優秀だからということ(かわいいからということがあるかどうかは、私の考えすぎかもしれない)。しかし数が少ないので競争が激しいようである。

同じ周旋料金を払っても、優秀なインドネシア人メイドはシンガポールやアラブ諸国で働きたがり、マレーシアに来るのは炊飯器のスイッチの入れ方もわからない愚物や結核病みばかり、というようなこともあるのだとか。結核病み女が子供をあやしているということもかなりあるようだ。

なお、マレーシアで中国人メイドは法律で原則禁止されている。理由は、「反中感情」などでは決してなく(インドネシアと違いマレーシアには反中感情はない)、「華人系の家庭崩壊につながるから」。マレーシア華人協会女性部の強い反対があるから、というちょっとイタイもの。中国人メイドを容認するかどうかも政治案件である。

インドネシア人メイド虐待事件はかなり深刻な両国間のしこりになっているらしく、インドネシア政府はマレーシアへのメイド派遣を当分中止するという。

アラブの自宅に医者がいる(自宅に医院がある)ような家庭なら、住み込みで働くのも悪くないかもしれない。

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